「このおれはたとえクルミの殻に閉じこめられようと、無限の宇宙を支配する王者と思い込める男だ」これ何の引用かご存知ですか?
『ハムレット』なんですが、済東鉄腸さんの「千葉からほとんどでない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話」の12ページに出てくるんです。そのあとの文面が「これを読めば理解してくれる人もいるだろう。そうなんだよ、つまり『ハムレット』の引用なわけだよ」
知識が足りない
私の知識が足りてないから読めない本かもしれないな…とそこはかとなく感じました。
「これを読めば理解してくれる人もいるだろう」理解できてない。
冒頭から作品に入っていけないのが悔しかったので、ハムレットも読みました。ハムレット自体がもしかしたら理解できないんじゃないかなとドキドキしましたが、1回読めたのが感動した。
済東さんの引用のおかげで、ハムレットを読んでみることになり、表現が美しい素敵な作品なんだと気づくことが出来ました。そこから「わからないことがもしかしたら面白いことなのかもしれない」とこの本のわくわくを予感しながら読み始められました。
言葉へのこだわり
話を戻して‥この本では、済東鉄腸さんがルーマニア語に出会ったところからFacebookでルーマニアの人たちとつながったり、ルーマニア語で小説を書いたり、詩を書いたり、ルーマニアに住んでいない本物のルーマニア語じゃないからと連載を打ち切られたりいろんなお話が出てきます。
日本人がルーマニア語を学んで、小説とか書評を書くのでどう表現するか、どう表現したらうまく伝わるかをじっくり考えられていて、ニュアンスも伝わるように考えていく過程・こだわりの様子がすごいんです。
文章全体で使っている言葉も、私はあまり聞いたことがない表現が多かったです。大学時代を「ぬるい悪夢のような」、ルーマニア語に興味を持ったきっかけの映画の衝撃を「脳髄を直接ブン殴られるような」、そんな言葉聞いてたら次はどんな言葉で表現するのか気になって面白かったです。
わからないのが面白い
最初にハムレットについて書きましたが、全体そんな感じで影響を受けた作品がたくさん登場していて、それらについても独特な表現で語られています。
ルーマニア語の作品もあるから、読めるものばかりじゃないけれど紹介されている作品はできるだけ読んでいきたいと思っています。
そうすると、この1冊をスタートとしてまだまだ読んでいない面白い本のつながりがあって、それらの本を読んだ後もう1度この本を読んだらまた違って見えるんじゃないかと期待が高まります。
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