2月の読書

本のこと
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ドストエフスキーの「罪と罰」(光文社古典新訳文庫)を読みました。読めたらかっこいいとは思いつつ、全く興味がなかったんですが、岸本佐知子さん、三浦しをんさん、吉田篤弘さん、吉田浩美さんの「罪と罰を読まない」を読んでめちゃくちゃ面白そうだったのでチャレンジしました。「罪と罰を読まない」では全体は読まずにページ指定して一部だけを読んでそこまでの流れなど4人で想像しながらすすめて最後に全体を読んでから改めて物語について語っている1冊です。この本を読んでいたことで概要がつかめていたので、罪と罰を読みながら「みなさんが気にしてたのはこのシーンか!」と楽しみながら読むことができました。

登場人物が魅力的、というかツッコミどころがあって面白いというか、3巻通して意外と面白いと感じれました。

そもそも罪と罰って2週間の話って知ってました?

本編は、主人公の青年ラスコーリニコフが金貸し婆さんを殺めようと決めて、殺害、その後自首するまでの2週間の出来事なんですよ。

たった2週間を文庫本で3冊にするってどんだけ長いの?とびっくりしたんですけど、みんな悩みやら語りから長いんです。ラスコーリニコフは特に1巻は幻覚を見たりどこを歩いたのかわからなくなりながらやるべきか、やらざるべきかと悩みますし、全体通して批判したり怒ったり感情が忙しいです。1巻のお母さんからの手紙は20ページ近くありますし、殺害のあとは、妹ドゥーニャの婚約話、娼婦のソーニャの家族の話、ドゥーニャに執着しているスヴィドリガイロフの話など途中主人公どこいった?と感じるような場面も多いです。

ドゥーニャの婚約者こじらせてるルージン

ドゥーニャは、後述のスヴィドリガイロフの問題のあと、お金の心配からルージンと婚約するんですが、彼の理想の結婚相手像がこじらせてる…と感じさせます。

  品行がよく、貧しく(ぜったいに貧しくなければならなかった)、たいそう若く、たいへん美しく、上品で教養があり、浮世の不幸をなめつくしてひどく臆病になり、自分にどもまでもすがり、一生、自分を救い主とみなして敬意をいだき、ひたすら自分にだけ服従し、驚きの目をみはる、そんなふうな娘だった。

ドストエフスキー 罪と罰

ラスコーリニコフが結婚を反対してると知って、ドゥーニャとラスコーリニコフを仲違いさせようとしたり、娼婦のソーニャに盗人の冤罪かけたりやることが汚い男です。途中退場しますが、男尊女卑のドケチな自分大好き人間て感じです。

ドゥーニャを追いかける紳士スヴィドリガイロフの存在感

全体読んで一番印象に残ったのが、スヴィドリガイロフです。ラスコーリニコフの妹、ドゥーニャが家庭教師をしていた家の主人で、ドゥーニャに言い寄っていた人。奥さんにドゥーニャが言い寄っていると思われて面倒なことになりつつ、結果的には疑いは晴れるわけですが、この人執念深いんですよ。

ドゥーニャが婚約者を得て、兄に会いに田舎から出てきたら、スヴィドリガイロフ氏も追いかけてきます。しかも妻マルファの殺害や下男の死の原因、少女への凌辱の噂など恐ろしい人物です。更にペテルブルクに出てきて16歳にもならない女の子と婚約するわけです。

ドゥーニャと二人きりで会うよう画策し、ラスコーリニコフが金貸し婆さんを殺したことを伝えつつ、自分を頼ってくれれば逃がせますよとささやきます。結局ドゥーニャから愛してもらえないことで絶望しつつ自殺してしまうんですが、3巻の主人公はスヴィドリガイロフ?というくらい存在感がありました。

ヒロインなソーニャ

ラスコーリニコフが入った居酒屋で偶然居合わせたマルメラードフの娘のソーニャ。マルメラードフが稼いだお金をお酒にしちゃうから、義理の母や弟妹を養うために娼婦になった子。義理の母カトリーナさんに言われて仕事に行ったという話がなんとも貧しさ苦しさを感じました。

クセの強い登場人物の中で普通な人の枠だと思っていたら、聖書を読んでいるシーンで興奮していって声が「金属音のように甲高く」なるという存在感の子でした。

ラスコーリニコフはソーニャにだけ自首前に殺人を告白します。ソーニャは驚くものの自首する彼を影なら見守ってたり、シベリアに行くラスコーリニコフについていってくれる特別な存在です。

ラスコーリニコフは懲役7年

二人の殺害をしたラスコーリニコフですが、本編中では確実な証拠を警察側が掴むことができません。ほぼ自供してるんじゃ…と思うようなシーンとか、真っ青になったり震えたり挙動不審な様子は多々ありますが、偶然が重なって疑惑止まりです。

この物語では犯人が逃げ続けるわけではなく、自首します。年金ぐらしの母親がやっと用立てたお金をお酒に使ったり、お葬式代に寄付しちゃったり、友達に心配されても感じ悪く返したりいいところがあんまり描写されていないラスコーリニコフですが、減刑されて懲役7年です。それが裁判のときになって、実はいいやつだったエピソードがあとから出てきたことと、「一時的な精神錯乱の理論」が持ち出されて2人の殺害ですが7年の懲役となりました。

懲役中のラスコーリニコフが食事についてこんなふうに書いています。

  ゴキブリの浮いた、具のないスープが?学生のころ、それすら口にできないことがしばしばだった

ドストエフスキー 罪と罰

本編でも全く食事をしないでぼーっとしていることもありました。極貧の状態だったから懲役中のひどい食事は問題ないということなんでしょうか、ゴキブリのインパクトがシンプルに強いです。

1回じゃ理解しきれないけど面白かった

物語の伏線とか描写の妙、みたいなものは理解できてないと思いますが、面白かったです。全くわからない状態で読み始めたら噂通り登場人物がわからなくなったり途中で諦めたと思いますが、「罪と罰を読まない」で全体像がつかめていたので読み進めることができました。

また時間をあけて再チャレンジしてみたいと思います。そのときには今回気になったところと別の所を気になるのかなと思います。

ふじ

1992年生まれパートの実家暮らし

読書や生活で学んだことをブログにまとめてアプトプットしています。

「何もしない1日だった…」の積み重ねを「今日はちょっと成長できた」にしていくブログです。

ミニマリストや効率化、読書が好きです。

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